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食道がんとは?
食道は喉と胃の間を繋ぐ管状の臓器です。食道の内部を覆う粘膜にできるがんが食道がんで、食道のどの場所にもできる可能性があります。約半数は食道の中央あたりに発生し、粘膜内にと留まっていれば「早期食道がん」、粘膜内から粘膜下層までに存在すると「食道表在がん」と呼ばれます。男性に多く発症する傾向にあり、年齢でみると50歳代から増加して70歳代が最多です。
がんが大きくなると食道の外に浸潤し、気管や大動脈、リンパ管に広がっていきます。食道の壁内にある血管やリンパ管にがんが浸潤すると、リンパ節や肺、肝臓などに転移することがあります。
初期症状はないことが多く早期発見が難しいと言われており、進行するにつれて、ものを飲み込む時の違和感や痛み、咳、声のかすれなどの症状が現れます。
食道がんの主な症状
- ものを飲み込むと喉がつかえる感じがする
- 胸のあたりに違和感がある
- 体重が減る
- 胸や背中が痛む
- 嗄声(声のかすれ)がある
- 咳が出る など
食道がんの原因
日本人の食道がんに多い扁平上皮がんは、飲酒と喫煙に強い関連があることがわかっています。
アセトアルデヒドと呼ばれる発がん性の物質が飲酒によって体内に生じ、分解酵素の働きが弱い人は食道がんの発症リスクが高いといった報告もあります。
その他、熱いものや辛い物を食べる頻度が多い、運動不足など、日常的な生活習慣にリスクがあります。
また、日本人には10%以下と少ないですが、欧米人に多い「腺がん」という種類もあります。
胃酸が食道に逆流して炎症を繰り返し起こすことによる「バレット食道」という状態が関係していると考えられていますが、食生活が欧米化した日本でも今後増加する可能性があるため注意が必要です。
食道がんの検査方法
内視鏡検査(胃カメラ検査)
内視鏡の先にカメラを付けて食道内に挿入し、食道の粘膜の色や表面の状態を直接観察します。異常が認められた場合は、組織を採取する生検を行い、顕微鏡で組織を観察してがん細胞の有無を調べます。
がんの広がり具合や浸潤の深さも調べられ、その際に特殊な色素や波長の光を用いてがんをわかりやすくして検査することが可能です。
大津市松原町のオクムラフォレストールクリニックでは、胃カメラ検査の実績が豊富な医師が検査を行い、がんの早期発見に繋げます。
上部消化管造影検査(バリウム検査)
バリウムなどの造影剤を飲んでいるところをX線で撮影し、食道の通過の様子を検査します。
がんの場所、大きさ、食道内腔の広さなどがわかります。
超音波内視鏡検査
内視鏡の先端に超音波装置が付いており、食道がんの広がりの深さ、周辺の臓器への転移の有無、食道外側にあるリンパ節転移の有無を詳細に検査します。
エコー、CT・MRI・PETなどの画像検査
身体の表面から超音波を利用して画像に映し出す超音波検査(エコー検査)、X線を利用したCT、磁気を利用したMRI、FDGを利用したPETによって周辺臓器への転移や、リンパ節、肺、肝臓への転移の有無を調べます。がんの進行度を調べるために大切な検査です。
腫瘍マーカー
採血をして食道がんに特徴的な物質の値を調べ、経過や治療効果の判定に利用します。
腫瘍マーカーの値だけではがんの進行度や場所などは確定できず、また個人差もあるため、他の検査も併せて総合的に判断します。
食道がんの治療方法
食道がんの治療方法は主に病期で決まりますが、患者様の希望や体の状態を考慮しながら進められます。
内視鏡治療
早期のがんでは、食道を温存する内視鏡的切除術が推奨されています。切除後に食道が細くなることが予想され、転移の可能性が高いと判断された場合は追加で他の治療を行うことがあります。
外科治療(手術療法)
手術で食道と胃の一部、加えてリンパ節を含めた周囲の臓器も切除します。食道切除後には胃や腸を使って食道再建術を行い、食べ物の新しい通り道を作ります。がんができた部位によって手術の方法が異なります。
薬物療法(化学療法)
がん細胞を小さくする効果がある抗がん剤を全身のがん細胞に作用させます。
全身状態を診ながら、複数の薬を組み合わせて使うこともあります。外科治療や放射線治療に組み合わせることもあります。
放射線治療
高エネルギーのX線をがんに当てて小さくします。薬物療法と同時に行うとより効果的です。がんの根治を目指すほか、がんによる症状を抑える目的でも行われます。治療効果の判定は、2~3ヶ月おきに内視鏡やCTなどで確認します。
また、食道がんでは診断された時から物を飲み込みにくいなどのQOL(生活の質)の低下が起きていることが多いため、治療の初期段階から対症療法・緩和ケアを行って苦痛を和らげる治療を受けるのも重要です。